第三章 演劇同好会・超完全版(上)2008-02-09 Sat 03:24
次に唐沢教頭は演劇コンクールに向けて、猛練習をしていると風のウワサで聞いた演劇同好会を訪れた。
演劇同好会の部室は第一校舎にある。普段は2年D組として使われている教室が放課後には演劇同好会の部室として使用されている。 ガラガラガラガラーッ。 唐沢が教室のドアを開けると、しかし中には誰もいなかった。諦めて次のミス研の部室に行こうとすると、後ろから肩を叩かれる。 「唐沢教頭」 驚いて後ろを振り向くとそこには一人の男が立っていた。 「ああ、ビックリした。何だ君か。驚かせないでくれたまえ。それはそうと何で君がここに?」 するとその男は微笑み、 「こちらこそ教頭がわざわざ教室に来ているのを見て驚きましたよ。なぜこの2年D組の教室に?」 「―いや、実は演劇同好会の様子を見に、ね。今日は部活は休みかね?生徒が一人もおらんようだが」 すると男はまた微笑み、 「ご存知ないんですか?今日は演劇部の定期公演会で隣町の高校に行っているんですよ。ああ、教頭はそれを知らずに?」 男にそう言われると唐沢は頭を掻いて無駄足を嘆くしかなく、照れ笑いを浮かべて目の前の男に返答した。 「ああ、そうだったのか。どおりで人の気配がないなと思っていたのだよ。これは、うっかりしていた。失礼、失礼。―ところで、君はなぜそれを知っていたのかね?君は確か演劇部とは何の関係もないはず・・・うっ」 そこまで言った教頭はしかしその後を言うことができず、突然言葉に詰まる。なぜなら、教頭は男がズボンのポケットに隠し持っていたナイフで腹を一突きにされたからだ・・・。 男は倒れこむ教頭を見下げて、それ以上とどめをさすこともせず、じっとその様子を5秒程見つめた後、絶命する教頭を横目に彼の胸ポケットから教員免許を盗ると、静かにその場を立ち去った―。 この日から男は教頭と入れ替わり、彼の名前は唐沢瑞城になった。元々背格好が似ていた男が教頭と入れ替わるのは簡単で、整形手術で目鼻立ちを教頭そっくりに変えると彼は当分の間は学校を休み、自宅で生前の教頭の仕草をマスターした。休学届は自分用と教頭用をうまく入れ替わりがばれないように時間を見計らい、提出。自分のものは自ら整形する前に提出し、教頭のものは試しに整形して数日後に提出してみた。まだ仕草をマスターしていなかったので、途中教頭らしからぬ行動もあったが、なんとか誤魔化しその場を切り抜けることに成功した。 気になる本当の教頭の死体の処分はというと、あの数分後、男はトイレ(死体を置き去りにしたのはこの為で、どうしてもトイレを我慢することができなかった)から戻り、再び教室に出向いた。念の為、絶命している教頭の脈を調べて、既に息絶えていることを確認すると周囲をしきりに警戒し、死体を用意しておいたビニール袋(燃えるゴミ用)に教頭の体をナイフで切断した後(不思議と血は思ったよりも出なかった。もちろん、ビニールシートを敷いての切断作業)、手二本と足二本と三つに切断した胴体に少し重い首の合計八つの部分をビニール袋に丁寧に手袋をした手で詰め込む。ちなみに、ナイフは腹に突き刺したままにしてある(ナイフを抜くと、出血が酷いという有名な話があるからだ)。 収納にうまく成功すると、これもまた丁寧にビニール袋を蝶々結びにすると、両手で持ち上げる。かなりの重量だ。あまり腕っ節に自信がない男はそれでも外からは何が入っているのか伺い知ることができない黒い袋を一旦床に置くと、まず青いビニールシートを血が床に垂れないように気をつけながら用意していた大き目のスポーツバッグに仕舞うと再び教頭が入っているビニール袋を両手で持ち上げ、これもビニールシート以外何も入っていないスポーツバッグにうまく収納する。 それから、5分程かかってスポーツバッグへの収納を無事終えると、バッグを両手で持ち上げ、肩にかけようとしたが、かなりの重量がある為肩から落ちそうになったので、やはり両手で持つ。 そのまま男は黙って教室を出ると、車が止めてある駐車場まで苦労しながらも運ぶ。 ちょうど車のトランクにスポーツバッグを詰めているその時しかし後に重大な意味を持つ最大の悲劇が起こったのだ! |
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