幕間(3) 県立虎ノ門高校野球部・超完全版2008-02-14 Thu 17:26
ここは、県立虎ノ門高校野球部の部室。春の選抜出場を控えたその野球部の部室に今、一人の男がその部室の門を叩いていた。 男の名は、古城竜也。元ミステリー研究会副部長にして、2年2組12番。野球部のエースで主将の小西真一郎とは同じクラスの前番号(小西が13番)。小中高と同じクラスで、所謂幼馴染。少年の日に夕陽を見ながら交わした『甲子園出場』の約束を果たす為、古城はこの名門野球部の門を1年遅れではあるものの今まさに叩いている。勿論その手には『入部届』が固く握り締められていた。 そして、数秒待って出てきたのは髭面の30代男。 男は古城を見るなり開口一番。 「誰だ、お前は!」 「はい、自分は2年2組12番の古城竜也です!この野球部に入部する為に来ました!」 「・・・入部希望者か。どれ、その紙を俺に貸してみろ」 男はそう言うと無理矢理古城の手からその入部届と」書かれた紙を奪い取ると、何を思ったのかその紙をビリビリと破り捨てた! 「こんな紙切れはいらん!入部したければ、2日後の午後6時にグランドで入部試験をやるから、そこへ来い!時間厳守だぞ!」 そして、2日後の午後6時。野球部専用グランドでは髭面の男(何を隠そうこの男こそがこの名門野球部の監督だったのだ!)をはじめ、マウンドにはエースの小西、バックネット裏には補欠部員達、ピッチャー以外の守備位置にはレギュラーメンバー。総勢49名の部員が揃ったそのグランドのバッターボックスに古城がバットを構え、立っていた! 入部試験の内容は、小西からホームランを打つこと。チャンスは7球。1打でもホームランが出れば、その瞬間古城の入部が決まる。 緊張の一瞬。 小西はしかし、球速140km台の直球でまず勝負してきた。 古城はその直球に息をピッタリ合わせ、思い切りボールめがけてバットを振り抜く。 「おお!」 バックネット裏の補欠部員たちから思わず歓声があがる。 ジャストミート。 見事、小西の放ったボールが古城の振り抜いたバットの芯に当たり、まさかの場外ホームラン。 それを間近で見せられた監督の怒声が、グランド中に響き渡る。 「合格だ!!」 そして、この男こそ虎ノ門高校野球部監督にして3月に人知れず退職届だけを残して消えた龍宮学園教師であり、何を隠そう唐沢瑞城を殺害した真犯人であった。 その男の名は、氷野将季。 その入部試験は、選抜大会直前の3月17日に行われ、その日以来男はこの野球部に姿を見せることはなく、忽然とその姿を消した―。 その3日後、唐沢瑞城がその男に人知れず殺害されたのだ! 勿論、その時点でそのことを知る者は誰一人としていなかった。 唯一人、新興宗教教祖の娘、神常寺唯香を除いては―。 |
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